2013年09月05日

ざまあみろ!

や、これタイトルですからね。私が血迷って暴言を吐いたわけでは……(汗)
今回ご紹介させていただくのは、『ざまあみろ!』(幻冬舎アウトロー文庫・立嶋篤史著)。
元全日本キック・フェザー級王者・立嶋篤史氏が書かれた自伝です。
スポーツ小説ではないし、筆者も小説家ではないので、そのジャンルを読み込んだ方には疑問符が付く個所もあるかもしれません。
でも、出来過ぎた小説にはない、フィクション、それも生の声だからこその迫力があります。
まずは、あらすじから。

ざまあみろ!(本書より抜粋)
苛烈なイジメに苦しんでいた少年がキックボクシングと出会い、過酷なタイ修行を経て、いつしかチャンピオンにまで上り詰めていく。
しかし、不器用な生き方しかできない男の人生は、順風満帆では終わらなかった。
ファイトマネーの未払い、2度にわたる交通事故――。
かつて、カリスマ的に人気を誇ったキックボクサー、立嶋篤史が歩んだ流転の人生。


どうして彼の周りには、ろくでもない大人しかいなかったのか。
読みながら、何度も思いました。
地元のサッカーチームに所属していた主人公は、チームメイトのみならず、指導者からも酷い扱いを受けます。
そのイジメの輪は広がって、小学校でも、中学校でも、部活動でも起こります。
これは昔も今も変わらないと思うのですが、大人が思う以上に子供の世界は狭くて、それでいて子供は健気な生き物で、だからどんなに理不尽なことをされても、なかなか外に向けてSOSが出せずに独りで抱え込む。
作中にはイジメの内容は綴られていますが、当時の彼がどんな心境だったか、細かい描写はありません。
恐らく立嶋少年も「逃げる」と「耐える」を繰り返していたのだと思います。
そして、そのことで精一杯で、自分の感情に気づく余裕すらなかったのかもしれません。
何も救いとなるものがない中で、彼が唯一、自分の声に気づく機会が訪れます。
それがキックボクシングとの出会い。強くなりたい、と願う心の声です。
キックボクシングを始めてからも彼には様々な試練が襲いかかるのですが、ここから先は読んでからのお楽しみということで。
よくスポーツ小説に求められるような読後の爽快感は、たぶん、ないです。(作者の方、ごめんなさい!)
ハッピーエンドでもありません。
でも、このお話は紛れもない事実で、彼は今もその現実と向き合っている。
そこに心揺さぶられるものを感じる方は、是非、一度手にとって読んでみてください。


posted by 宮城あおば at 13:49| Comment(0) | スポーツ小説紹介