2013年04月30日

空をつかむまで

今月も、どうにか滑り込みで間に合いました。(苦笑)
今回ご紹介させていただくのは、『空をつかむまで』(集英社文庫・関口尚著)。
スポーツ小説のジャンルではあまり語られていないのではないかと思って、挙げてみました。
メジャーな作品が続いていたのでね。
『プリズムの夏』や『パコと魔法の絵本』で有名な作家さんですが、実はスポーツ小説も書いていらっしゃるんです。
まずは、あらすじから。


空をつかむまで(本書より抜粋)
膝の故障で得意のサッカーを諦めた優太は、廃校が決まった田舎の中学に通う3年生。無理やり入部させられた水泳部には、姫と呼ばれる県の記録保持者と、泳げないデブのモー次郎しかいない。3人は、なくなってしまう美里中学の名前を残すため、大切な人のため、優勝すべくトライアスロンに挑む。市町村合併を背景にまばゆい青春の葛藤と疾走を描いた少年少女小説。


もしかしたら、作者様ご本人はそんなつもりはないのかもしれませんが、私、個人としてはスポーツ小説だと思っています。
ここに出てくる三人は、それぞれに「躓き」があって、潰れかけた水泳部に集められます。
「挫折」というほど決定的な事でもなくて、教科書に出てくる中学生像を望む大人には「その程度のことで……」と言われそうな「躓き」。
彼等もそれが分かっているので口には出来ないけれど、その「躓き」を抱えたまま、うだうだと過ごしている。
物語は、そんな彼等に廃部寸前の水泳部・顧問からある「課題」を言い渡されることから動き出します。
その課題とは、ジュニアトライアスロンに挑戦すること。
個々に苦手な種目のある彼等は、ローカル・ルールを駆使して、課題に挑むが――

ここから先はネタバレになるので、読んでからのお楽しみという事で。
中学生ならではの柔らかくも脆い内面が丁寧に描かれていて、笑いあり、切なさあり、甘酸っぱい恋愛もちょこっとありで、色々な場面で「中学時代って、こんな感じだったなぁ」としみじみ思える作品です。
興味のある方は、是非!



posted by 宮城あおば at 08:43| Comment(0) | スポーツ小説紹介